皆さまご存知でしょうか。甘さを感じるような香りと、濃厚なのに重く残らないおいしさ。とても罪深い、エシレバター。
数年前、存在は知りつつも口にしたことは無かったこのバター。当時勤めていた会社の先輩から教えていただいたお店でやっと味わったのですが、その時の感動は本当に忘れられないです。そして、その時の美味しさの感動を2回目以降にも存分に感じられる、美味しいバターなのです。
わたしが行ったお店は『Brasserie VIRON(ブラッスリー・ヴィロン)』。渋谷と丸の内にあるので、行く機会がある方はぜひ足を運んでいただきたい。
店に入ってまず驚くのではないだろうか、というのが商品の多さだ。ショーケースいっぱいのケーキ、パン。さらにショーケースの上にもパンや焼き菓子が。優柔不断なわたしにはとても悩ましい光景である…と同時に胸の高まりが止まらない、大好きな光景でもある。全て美味しいなんていうことは既に分かりきっているので、つい買いすぎてしまうのが常である。
店頭にある商品の持ち帰りと店内での飲食ができるため、時間がある時には店内でゆっくり美味しいものを楽しむ。至福である。ランチをするにもお茶をするにも、わたしは必ずバゲットとエシレバターを注文する。これがもう最高なんだ。本当に。
バゲットとエシレバターが席まで届いたら、まずはバゲットの香りをたっぷりと吸う。変人チックだが、あの香りを1度知ってしまったらもう1度吸わないという選択肢は消滅する。とてもシンプルなパンでありながら、香ばしくて甘く柔らかな、食欲をそそる豊かな香りがするのだ。はじめはバターを塗らずにいただく。もちろん美味しい。先ほど楽しんだ香りが増幅されて口の中いっぱいに広がる。バゲットは2カット提供されるのだが、香りと味わいに食感も加わり、1つ目はあっという間に胃袋の中へと吸い込まれる。
2つ目にやっと、エシレバターを塗っていただく。バゲットの香ばしく豊かな甘みに、エシレバターの濃厚かつ軽やかな美味しさが加わる。美味しくない理由がどこにもない。パンとバター、こんなにもシンプルな2品でとてつもない幸福感で満たされる。バゲットはおかわりができるので、もちろんいただく。またたっぷりと香りを楽しんでからエシレバターを塗って、さらに楽しむ。…あぁ、食べたい。書いていると、食べたくてたまらなくなる。コロナウイルスが終息したら東京へ行こう。
ある日、そんな幸せの材料を近所のスーパーで見つけたのです。価格は50gで約600円。
値段に尻込みし、いつも後ろ髪を引かれつつ買えずにいたのですが、暖かくなってきた野菜売り場に「新じゃが」の文字が…。となるともう我慢できませんでした。
じゃがいもを蒸すのには時間がかかるので、家に帰ってからすぐに新じゃがを蒸し始め、他の料理を作りながら来る時に備えます。お箸が(わが家に竹串はありません。笑)スッと通るようになったら、熱々ホクホクのうちにエシレバターを…。
んー!!美味しい!!!やっぱり間違いない。ホクホクのじゃがいもに風味豊かなエシレバター。あ、これもとってもシンプルな組み合わせですね。美味しいバターはシンプルな組み合わせほどその美味しさを存分に楽しめるみたいです。
まだエシレバターが残っているので、わたしの大好きなパン屋さん、Mädchen(メッチェン)のカンパーニュに自家製あんこがたっぷり入った「アンパーニュ」と一緒に食べようとか、ホットケーキを焼いてみようかなとか、甘くないお食事系のフレンチトーストを焼こうかなとか、お家での美味しい幸せの予定が目白押しとなっています。
バター不足の影響で、わが家の近所のスーパーでは有塩だけの取り扱いとなっていますが、駅ナカスーパーや各種オンラインストアであれば購入できるかと思います。安いとは言えないバターですが、焼きたてのパンに塗る、それだけでとっても幸せな気持ちにしてくれるバターなので、ぜひ。ご賞味あれ。