『アナトミカ』『マリリン』の存在を知ってはいたが、マリリン1のシルエットだけを見て『うーん、これはわたしには似合わないやつだ。』と判断し欲しいものリストに入っていなかったマリリン2。今では1番お気に入りのボトムス。不思議なこともあるもんだ。
マリリン1がストレートなシルエットなのに対して、マリリン2はテーパードがかかったシルエット。スタイルが良いとはお世辞にも言えないわたしにはテーパードのマリリン2の方が好ましい。…とはいえ、どちらかというとウエスト周り以外はゆったりした印象のため試着するまでは『どうだかなぁ』と思っていたのが正直なところ。しかし、何度か買い物をしているお店の店長さんに「絶対に良いよ」と勧められ履くと『おや…?これは……』
──靴や服を試着すると『思っていたシルエットと違う』『アイテム単体で見る分には素敵だけどわたしが身につけると違う』と残念な気持ちになることもあれば、『やっぱりこれは良い!』『想像通りのシルエット!』と気持ちが高まることもある。後者の気持ちの高ぶりは買い物の醍醐味のひとつであるとわたしは思う。そして、『予期せぬ出会い』これもまた、良い。目星をつけていたものを買いに行ったら見つけた、友人の買い物の付き合いで入ったお店で見つけた…様々な状況があると思うが、あの瞬間の “商品と『ピタリとはまる』『目が合う』感覚” は何にも代えがたい。嬉しいと思う反面、予想外の出会いに『やっちまった…』と思うのだ。あの感覚に陥らせるものに出会うと、必ずと言っていいほど手提げを持って退店することになる──
絶対に似合わないと思っていたのに『ピタリとはま』っているのだ…。本当に、予想外だった。試着室の中でひとり「あっ…(これはやっちまった)」と小さく声が出ていたと思う。魚卵とお酒が好きな店長さんも「やっぱり。マリリン2がいいね。」と。すぐに別サイズを出してきてくださり、履き比べ。かなりジャスト、もう少し痩せたらちょうど良いものと、若干の余裕があるほぼジャストの2本で迷い、後者に。タックインをすることや過ごしやすさ、そしてなりよりシルエットを考慮して「これにします」と、若くして痛風持ちの店長さんに伝えた。Tシャツ1枚を求めてお店に行ったのに、手提げにはそのTシャツに加えてマリリン、さらに島根県の出西窯[しゅっさいがま]のマグカップ2つが入っていた。とても良い買い物であった。
シルエットの綺麗なデニムを手に入れ、いつかそのシルエットを写真に収めたいと思いつつ、履いて出かけても気づけば日が落ちていたりわざわざ時間を割いて撮りに行かなかったりと、その姿を写真に収めることなく過ごしていた。しかしある日…愛車であるビートルの修理が終わった次の日、風の強い晴れの日であった。ドライブがてら写真を撮りに行こうと発案したところ念願が叶うことになった。
実行に移せたことは良かったのだが、撮られる側も撮る側もそれぞれの役割に慣れておらず試行錯誤しながらの撮影となりお互い勉強しなくてはと反省。そうしている間も強く冷たい風が吹きやむことはなく今すぐ帰りたいとすら思ったが、凍えながらもアウターを脱いだ。マリリンを撮るのだ。アウターを脱がないという選択肢は無かった。
写真はというと、自分で言うのは気恥ずかしいが…良く撮れていると思う。Instagramに溢れるキラキラとした美人のそれには到底及ばないが、車と服を綺麗に収めてもらうことができて満足している。
glasses:JINS
jacket:Barbour SPEY JACKET
pierce(right only):arancioLeather
shirt:ORCIVAL
denim:ANATOMICA MARILYN2
shoes:CONVERSE JACK PURCELL
beetle’s shoes:BRIDGESTONE Sneaker
今までマリリンを裾上げするか否か迷っていたが、今回客観的に全容を見て裾上げをしようと決めた。今の状態ではマリリン2のシルエットが台無しである。…これに関しては履く人間の好みでしかないためあくまでも一個人の見解である。
裾上げしてからも永く履くには、太らないことが絶対条件である。決して多くはない食事を摂っただけでボタンを外したくなる、少し便秘ぎみになるだけで履きたくなくなる、シビアなサイズであるからだ。綺麗に服を身につけるにはただ買うだけではいけないなと思うここ数年。わたしがマリリンを履かなくなっていたら、『そうゆうこと』だ。そうはならないことを願おう。